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Tears&smile~大切な思い出~

第1章 Tears&smile~大切な思い出~

 どれくらい走ったのだろう。気がつくと懐かしいライブハウスの前にいた。ライブハウスからは、僅かな歓声と音が漏れている。








 六年前――。苺がまだ五歳の時。バンドのライブに家族で行った。高校時代にパパとママが所属していたバンドらしい。

 ボーカルの人は、白でトランプ柄の入ったロリィタ服に身を包み、かっこいいロックを歌っていた。周りで楽器を弾いているのはパンクなお兄さんたちだ。

「苺もあのお姉さんみたいにお姫様になりたい!」

「苺ならなれるわよ。だって、パパとママの子だもの」

 そう言って、ママは苺の頭を撫でてくれた。パパも続いて、頭を撫でてくれる。

 その日、家に帰ってから、パパとママは高校時代のアルバムを見せてくれた。

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