お嬢様と二人の執事
第1章 沙都子
沙都子は目線の先にいる亘を失礼にならない程度に観察する。
白髪の混じる髪は撫で付けられているが薄くはない。
背はたぶん、その年代にしては高めだと思う。
人当たりのいい笑顔を浮かべているが目に力があるから好好爺といった風情ではない。
巨大な企業体を一手に握る人の強さが透けてみえる…気がした。
無言で見つめてしまったことに気がついた沙都子は少し顔を赤らめる。
それから慌てて立ち上がり亘の前に歩み寄る。
「あっあの…はじめまして…白濱沙都子ともうします、お祖父様」
そういうとそのまま、綺麗なお辞儀をする。
「顔をあげてくれないか、沙都子さん。」
頭上に響く低く柔らかな声に、沙都子は顔をあげる。
「沙都子とお呼びください」
年長者である亘にさん付けで呼ばれるのが居心地悪く感じて、思わず言ってしまう。
亘は少し笑って沙都子を見る。
「間近で見ると雪芽に…良く似てるな。あぁでも目の辺りは雄介なんだな…。二人には…悪いことをした。そして、沙都子…お前にも…要らぬ苦労をかけた」
亘は沙都子に向かって頭を下げた。
「あのっ、お祖父様、どうか顔を上げてください。私、苦労なんてしてませんから…。お父さんとお母さんとずっと幸せに暮らして来ましたから…」
言いながら、沙都子はその幸せをくれる父母がもうこの世にいないことを痛感した。
白髪の混じる髪は撫で付けられているが薄くはない。
背はたぶん、その年代にしては高めだと思う。
人当たりのいい笑顔を浮かべているが目に力があるから好好爺といった風情ではない。
巨大な企業体を一手に握る人の強さが透けてみえる…気がした。
無言で見つめてしまったことに気がついた沙都子は少し顔を赤らめる。
それから慌てて立ち上がり亘の前に歩み寄る。
「あっあの…はじめまして…白濱沙都子ともうします、お祖父様」
そういうとそのまま、綺麗なお辞儀をする。
「顔をあげてくれないか、沙都子さん。」
頭上に響く低く柔らかな声に、沙都子は顔をあげる。
「沙都子とお呼びください」
年長者である亘にさん付けで呼ばれるのが居心地悪く感じて、思わず言ってしまう。
亘は少し笑って沙都子を見る。
「間近で見ると雪芽に…良く似てるな。あぁでも目の辺りは雄介なんだな…。二人には…悪いことをした。そして、沙都子…お前にも…要らぬ苦労をかけた」
亘は沙都子に向かって頭を下げた。
「あのっ、お祖父様、どうか顔を上げてください。私、苦労なんてしてませんから…。お父さんとお母さんとずっと幸せに暮らして来ましたから…」
言いながら、沙都子はその幸せをくれる父母がもうこの世にいないことを痛感した。