お嬢様と二人の執事
第1章 沙都子
沙都子は暫し、思いに沈む。
どちらくらいの時が経ったのか、既に冷めきった紅茶に手を伸ばし一口、口にする。
眼差しを真っ直ぐ成瀬に向けると沙都子は言った。
「お祖父様に会わせて頂けませんか?」
その一言を聞いた成瀬は一言、ありがとうというと直ぐに室内の内線から指示を出した。
準備が済むまでここにいるようにという成瀬に従い沙都子はソファに腰掛けたまま、窓の外をみる。
窓から見える高層ビル。
その内のいくつかは確実に東堂グループのものである。
夕陽が赤く染める室内で成瀬が口を開く。
「雄介くんを…いや、雄介を東堂さんに紹介したのは私なんですよ」
「後悔してらっしゃいますか?」
「いや、こんな素敵なお嬢さんを育てたんだ、後悔なんてあるわけない。二人は幸せだったかな?」
姪っ子に話しかけるように聞く成瀬。
「父と母は…娘の私が見てても照れるほど仲が良くて…理想の夫婦でした。最期まで二人で逝ってしまうほどですから…。幸せだったと思います。私は父と母が大好きでした」
そう言って俯く沙都子。
「最期まで幸せだったと聞いて安心したよ」
成瀬の声ではない男性の声に沙都子は顔をあげる。
そこには白髪の洒脱な紳士が立っていた。
その人こそ東堂グループ会長の東堂亘だった。
どちらくらいの時が経ったのか、既に冷めきった紅茶に手を伸ばし一口、口にする。
眼差しを真っ直ぐ成瀬に向けると沙都子は言った。
「お祖父様に会わせて頂けませんか?」
その一言を聞いた成瀬は一言、ありがとうというと直ぐに室内の内線から指示を出した。
準備が済むまでここにいるようにという成瀬に従い沙都子はソファに腰掛けたまま、窓の外をみる。
窓から見える高層ビル。
その内のいくつかは確実に東堂グループのものである。
夕陽が赤く染める室内で成瀬が口を開く。
「雄介くんを…いや、雄介を東堂さんに紹介したのは私なんですよ」
「後悔してらっしゃいますか?」
「いや、こんな素敵なお嬢さんを育てたんだ、後悔なんてあるわけない。二人は幸せだったかな?」
姪っ子に話しかけるように聞く成瀬。
「父と母は…娘の私が見てても照れるほど仲が良くて…理想の夫婦でした。最期まで二人で逝ってしまうほどですから…。幸せだったと思います。私は父と母が大好きでした」
そう言って俯く沙都子。
「最期まで幸せだったと聞いて安心したよ」
成瀬の声ではない男性の声に沙都子は顔をあげる。
そこには白髪の洒脱な紳士が立っていた。
その人こそ東堂グループ会長の東堂亘だった。