お嬢様と二人の執事
第5章 漂
「あっ絢!そんなところに居たの?急に声が聞こえたからびっくりしたよ。」
まったく動じてない麻紗が明るい声で目の前の美人に声を掛ける。
麻紗も絢に負けず劣らずスラッとした美人だか人懐っこい性格が絢と違うテイストを醸し出している。
二人揃って170センチ近い身長で高めのヒールを履いているので小さめの沙都子と並ぶと不思議なバランスになる。
沙都子自身は自覚がないのだが、この3人、学部内でも目立つ存在で今も道行く学生の視線が集まっていた。
「まぁいいや。そこについては後できっちり話すとして…今日の講義、休講だって。事務所前の掲示板に出てたよ。」
「やったー!ということは今日はこれで終わり?」
麻紗が心底嬉しそうな顔で言う。
「うん、これで終わり。来て損したって言いたいけど…沙都子に会えたからいいわ。とりあえず…カフェテリアに移動しない?
周りの目線が痛いよ…。」
絢が周りを見ながら小声でいう。
「よし、行こう!」
麻紗が右から、絢が左から沙都子の手を取るとそのまま引き摺られるようにカフェテリアへと連れて行かれる。
沙都子にとってすごく大切な二人の友だち。
きっとこれから色々聞かれるだろうけどさて、そこまで話すべきか…。
沙都子は歩きながら必死に考えていた。