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お嬢様と二人の執事

第5章 漂

上気した頬。汗の滲む額。

水を流しこむ合間に、私を見上げる濡れたような瞳。

身体の芯が、どんどん熱くなる気がした。

ボトルの半分の水を流し込むと、一也さんが手で止めた。

「もう…大丈夫…」

そっとつぶやくと、背もたれに身を預け目を閉じた。

髪が濡れたままなのに気づき、バスルームからドライヤーを取ってくる。

コンセントを差し、なんとか届いたのでそのまま一也さんの髪を乾かした。

「沙都子様…。」

「いいから、そのまま休んでいてください。病み上がりなんですから」

そういうと、気持ちよさそうに目を閉じ、身を委ねてくれる。

いつもの皮肉はどこかへ行ってしまって、子供のように素直で…。

思わず笑みが漏れてしまう。

「何を笑うんですか…」

ちょっと拗ねたような口調が、増々子供のようで。

「いいえ…かわいいなと思って…」

思わず本音が飛び出してしまった。

耳まで真っ赤にして、一也さんはぷいと横を向いてしまった。

「大人の男を、からかうもんではありません」

「ごめんなさい…」

それでも、和也さんはじっと私にされるがままになってくれて。

髪を乾かし終わると、甘えるように私に唇を寄せてくる。

「水を飲ませて下さい」

言われるまま、水を一口含み、そのまま唇を寄せた。

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