
お嬢様と二人の執事
第6章 過去
散々迷って、東堂に世話になることにした。
中学の間は義務教育だから、働くことを禁じられた。
それでも早く仕事をしたくて、厨房や工房によく顔をだしては、手伝いをしていた。
母親を知る従業員には、とても良くして貰った。
特に白河のおばさんには、とても世話になった。
そして、神山にも…。
神山は俺とたった二つしか違わなかった。
だけど、俺とは根本が違った。
恵まれた家庭に育ち、疵ひとつない人生を歩んでいた。
その目は真っ直ぐ前を見て、その身体はしゃんと天に向かって伸びていた。
フットマンとして、まだまだだと回りはいうが、それでも俺には優秀に見えた。
何もかも、手の中に持っているように見えた。
憎かった。
なんの苦労もしないで、のうのうと育ってる神山が憎かった。
事あるごとに、俺は神山に突っかかっていった。
その度に、薄い微笑でひらりとかわされる。
行き場のない憤りは、毎日溜まっていくばかりだった。
「一也…いい加減甘えるのはお止しなさい」
中学3年になった年、白河さんに言われた。
「甘える…?誰に甘えてるのさ」
「神山よ。あなた、甘えている」
「甘えてなんかないよ!」
「あら、ああやって神山に突っかかっていくことが、甘え以外のなんなのかしら」
「白河さん…」
「甘えてるから、突っかかれるの。わかる?」
中学の間は義務教育だから、働くことを禁じられた。
それでも早く仕事をしたくて、厨房や工房によく顔をだしては、手伝いをしていた。
母親を知る従業員には、とても良くして貰った。
特に白河のおばさんには、とても世話になった。
そして、神山にも…。
神山は俺とたった二つしか違わなかった。
だけど、俺とは根本が違った。
恵まれた家庭に育ち、疵ひとつない人生を歩んでいた。
その目は真っ直ぐ前を見て、その身体はしゃんと天に向かって伸びていた。
フットマンとして、まだまだだと回りはいうが、それでも俺には優秀に見えた。
何もかも、手の中に持っているように見えた。
憎かった。
なんの苦労もしないで、のうのうと育ってる神山が憎かった。
事あるごとに、俺は神山に突っかかっていった。
その度に、薄い微笑でひらりとかわされる。
行き場のない憤りは、毎日溜まっていくばかりだった。
「一也…いい加減甘えるのはお止しなさい」
中学3年になった年、白河さんに言われた。
「甘える…?誰に甘えてるのさ」
「神山よ。あなた、甘えている」
「甘えてなんかないよ!」
「あら、ああやって神山に突っかかっていくことが、甘え以外のなんなのかしら」
「白河さん…」
「甘えてるから、突っかかれるの。わかる?」
