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お嬢様と二人の執事

第6章 過去

「もう!だからあたしの言うこと聞いて寝てれば良かったのに!」

「俺だって言ってやったんだよ…そんな仕事代わるから寝てろって。なのにこいつ、聞きやしねえんだ!」

「おい、誰か医者を呼んだのか?」

「今、城さんが電話してるよ。」

「全く、しょうがねえなあ…コイツは…。」

そう言いながら、みんな心から神山のことを心配している。

甲斐甲斐しく神山の世話をしている。

「あっ…。」

後ろの方で声が上がった。

振り返ると、人垣が割れていた。

そこに立っていたのは、この屋敷の主人だった。

「どうだね。様子は。」

そう言いながら、神山のベッドに歩み寄る。

「旦那様!わざわざこんなところに…。」

「構うな。神山の様子を見に来ただけだから。」

旦那様は神山の顔を覗き込むと、額に手を当てた。

「熱いな…。誰か濡れタオルを。」

そう指示すると、イスに腰掛けた。

「無理しおって…。」

そう呟いているのに、まるで孫を見るかのように優しい目をしている。

「一也」

突然、俺の方を向いて名前を呼んだ。

「は、はい…。」

「今日は神山の面倒を、お前がみてやりなさい。」

「はいっ。」

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