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お嬢様と二人の執事

第7章 溶ける身体

「神山さん…やめて…」

「お身体がきつければ、添い寝いたしましょう…」

「え…?」

「お傍に…沙都子様…」

神山は沙都子の手を取ると、口吻した。

切ない目で見上げる。

神山の想いが、高宮にも沙都子にも染み渡るように伝わった。

「私は今日は…」

高宮が沙都子に跪いた。

「沙都子様、また明日…」

そう言うと、沙都子の手を取り口吻した。そのまま立ち上がり部屋を出て行く。

「一也さん…」

「神山さん…。後はよろしくおねがいしますよ?」

高宮が微笑んだ。

それは、近年神山がみたこともないような素直な微笑みだった。

「ああ…分かった」

何が起こったのか。

聞かなくてもわかる。

高宮は沙都子に触れ、何かが変わったのだ。

それはまた神山にも言えた。

ここまで女性を思ったことはなかった。

「沙都子様…お召し替えをお手伝いしましょう…」

「あ…自分で…」

「では、優子か貴子を呼びましょう」

神山は内線で二人を呼ぶと、沙都子に微笑んだ。

「貴女の思うように…致しましょう…」

そう言って沙都子の身体を優しく抱き寄せた。

「悟さん…」

シトラスの香りで、沙都子の胸は一杯になる。

震える手で、神山のジャケットを掴んだ。

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