お嬢様と二人の執事
第9章 雪の降る街
ふと目を上げると、沙都子様の目が外を見ていた。
視線を辿ると、窓の外にはらはらと落ちる雪片が見えた。
「雪…」
沙都子様が小さく呟くと、二人それに見惚れた。
「綺麗…今年は東京にも雪が降るのね…」
雪は窓の外を一枚の絵画のように彩る。
外からの薄いブルーにも似た灯りに浮かび上がる横顔は微笑んでいた。
「沙都子…」
沙都子様はこちらを見ない。
「沙都子…?」
沙都子様は俺を見ない。
「沙都子っ…!」
強引に抱きしめた。
「一也…?」
どこかに行ってしまいそうだった。
俺ではない誰かの腕の中…。
「どうしたの…?」
沙都子様の腕が俺を抱きしめる。
自分だけの物にしたい。
自分だけの女にしたい。
ちょっと前の自分ならば、簡単にやってのけただろう。
だが、今の自分はどうだ。
情けないにも程がある。
策略を巡らせることも、相手を…ライバルを陥れることもできず。
ひたすら指を咥えて、沙都子様に触れられる時を待っている。
「もっと…」
「え?」
「強く抱いて下さい…沙都子様」
この胸に抱かれる瞬間を待っている。
沙都子様の腕は俺をぎゅうっと抱きしめた。
「かわいい…一也…」
視線を辿ると、窓の外にはらはらと落ちる雪片が見えた。
「雪…」
沙都子様が小さく呟くと、二人それに見惚れた。
「綺麗…今年は東京にも雪が降るのね…」
雪は窓の外を一枚の絵画のように彩る。
外からの薄いブルーにも似た灯りに浮かび上がる横顔は微笑んでいた。
「沙都子…」
沙都子様はこちらを見ない。
「沙都子…?」
沙都子様は俺を見ない。
「沙都子っ…!」
強引に抱きしめた。
「一也…?」
どこかに行ってしまいそうだった。
俺ではない誰かの腕の中…。
「どうしたの…?」
沙都子様の腕が俺を抱きしめる。
自分だけの物にしたい。
自分だけの女にしたい。
ちょっと前の自分ならば、簡単にやってのけただろう。
だが、今の自分はどうだ。
情けないにも程がある。
策略を巡らせることも、相手を…ライバルを陥れることもできず。
ひたすら指を咥えて、沙都子様に触れられる時を待っている。
「もっと…」
「え?」
「強く抱いて下さい…沙都子様」
この胸に抱かれる瞬間を待っている。
沙都子様の腕は俺をぎゅうっと抱きしめた。
「かわいい…一也…」