
お嬢様と二人の執事
第10章 旅立ち
式は滞りなく終わった。
日本有数のこの大学は学部も多く、卒業生も多い。
講堂で行われた卒業式も総代とかでなければ出席は義務づけられていない。
それでも3人は記念にと出席した。
式が終わってぞろぞろと講堂を出る卒業生の列に沙都子たちも加わる。
このあと、学部ごとに決められた場所で学部単位の卒業式のあと学位証を受け取ることになっている。
「麻紗ちゃん、絢ちゃん、あのね。このあとなんだけど少し時間、貰っていいかな?」
「ん?沙都どうしたの?まぁいいけど。」
「私もいいよ。ってゆうかもともと今日は学部の卒業式出てからも一緒に居ようって言ってたじゃん?」
麻紗も絢も当たり前のように沙都子の願いを受け入れた。
「で、なにするの?」
麻紗が今更な質問をする。
「あのね…二人に会ってほしいの、お祖父様に」
その一言に絢が沙都子を抱きしめる。
「沙都子、ありがとう!」
ずっと隠しているような沙都子の態度に不安のようなものを感じていた二人。
ここに来て、沙都子が祖父を紹介してくれるというのは大きな進展だと思った。
「絢ちゃん…私こそ…ありがとう」
沙都子は素直に礼を言った。
「で。どこでお会いできるの?さすがにここじゃ人が多くない?」
麻紗が周りを見回す。
式が終わったばかりの講堂の周りは卒業生とその関係者、在校生などでごった返していた。
