
お嬢様と二人の執事
第10章 旅立ち
綺麗に手入れされた日本庭園が見えるレストランの個室に案内された3人。
中では亘が待っていた。
「お祖父様、お待たせしました。」
「いや、丁度いい時間に来たね。まずは席に着きなさい、沙都子。そして後ろにいる、美しいお嬢さん達も。」
入口に立ったままの麻紗と絢。
沙都子が二人に声を掛ける。
「お祖父様、私の一番大事なお友達の、麻紗さんと絢さんです。」
「初めまして、沙都子の祖父の東堂亘です。いつも沙都子から話を聞いています。卒業してもどうかなかよくしてやってください。」
二人に頭を下げた亘に、麻紗と絢が慌てる。
当たり前だ、自分よりかなり年配のしかも親友の祖父にいきなり頭を下げられたのだ。
「あの、頭を上げてください。そんなの困ります。沙都子さんは私たちにとって唯一無二の親友です。それはこれからもずっと変わらないですから。」
麻紗がいつもの太陽のような明るい笑顔で言う。
「私たち、沙都子さんと一緒に過ごすことでいつも幸せは気持ちでいるんです。これからもずっと、この関係は大事にしていきたいと思っていますので、私たちこそよろしくお願いします。」
絢が綺麗なお辞儀をする。
麻紗もそれに倣って頭を下げた。
「あの、お祖父様も麻紗ちゃんも絢ちゃんも頭、上げて。」
沙都子の泣きそうな声に3人は沙都子を見た。
