
お嬢様と二人の執事
第1章 沙都子
そのまま、館の奥に連れていかれる。
絨毯を敷き詰めた廊下。
重厚な木の扉がいくつも並ぶ。
その一つを開けて、神山が入っていく。
そこはこじんまりとした部屋で、応接セットが並んでいた。
ソファに沙都子を座らせると、神山は沙都子の前に片膝をついた。
「…申し訳ございません…言葉が過ぎました」
「いいえ…すいません、慣れていないので…」
神山は懐からハンカチを取ると、そっと沙都子に差し出した。
「お使いください」
沙都子は受け取ると、涙を押さえた。
「少し…焦りすぎたようです…」
「え?」
「沙都子様は、まだご両親を亡くされて日が浅いのに…配慮に欠けておりました…」
神山はそっと沙都子の乱れた前髪を直した。
「暫くは、心安くお過ごしください…ここはもう沙都子様の家です。寛いでお過ごしくださいませ」
「神山さん…」
「ここの使用人は、沙都子様の家族です」
家族。
私にはもう居なくなったと思っていた家族…。
沙都子の心に、温かいものが広がった。
「ありがとう…神山さん」
「落ち着かれたら、残りの使用人もご紹介します」
そう言って神山は立ちあがった。
窓辺に佇むと、じっと沙都子を見守った。
神山の視線を感じながら、沙都子は頬が熱くなるのを感じた。
湧き上がってくる感情が、一体何なのか、沙都子にはわからなかった。
絨毯を敷き詰めた廊下。
重厚な木の扉がいくつも並ぶ。
その一つを開けて、神山が入っていく。
そこはこじんまりとした部屋で、応接セットが並んでいた。
ソファに沙都子を座らせると、神山は沙都子の前に片膝をついた。
「…申し訳ございません…言葉が過ぎました」
「いいえ…すいません、慣れていないので…」
神山は懐からハンカチを取ると、そっと沙都子に差し出した。
「お使いください」
沙都子は受け取ると、涙を押さえた。
「少し…焦りすぎたようです…」
「え?」
「沙都子様は、まだご両親を亡くされて日が浅いのに…配慮に欠けておりました…」
神山はそっと沙都子の乱れた前髪を直した。
「暫くは、心安くお過ごしください…ここはもう沙都子様の家です。寛いでお過ごしくださいませ」
「神山さん…」
「ここの使用人は、沙都子様の家族です」
家族。
私にはもう居なくなったと思っていた家族…。
沙都子の心に、温かいものが広がった。
「ありがとう…神山さん」
「落ち着かれたら、残りの使用人もご紹介します」
そう言って神山は立ちあがった。
窓辺に佇むと、じっと沙都子を見守った。
神山の視線を感じながら、沙都子は頬が熱くなるのを感じた。
湧き上がってくる感情が、一体何なのか、沙都子にはわからなかった。
