お嬢様と二人の執事
第11章 桜
「い、いえ…これから研修なので…お祖父様には…」
「東堂さん、会長がとても心配していらっしゃいます。可愛いお孫さんのことを…」
「やめてください!私は他の方と一緒に研修を受けることを条件にこの会社に入ったんです。それを邪魔しないで…」
「はいはい…お嬢様の癖に粋がらないでくださいよ…」
「高宮っ!」
「なんでしょう」
「取り消しなさい、高宮…」
「どうせ結婚されるまでの腰掛けなんでしょう?」
「高宮っ!」
思わず頬を叩いた。
「あ…」
「お見事。では午後の研修を。邪魔して済まなかった」
高宮は教官に話しかけると、そのまま研修室を出て行った。
辺りがシーンとしている。
沙都子は思わず周囲に向かって頭を下げた。
「お、お騒がせしてしまって…すいませんでした!」
「い、いいのよ…東堂さん、ご立派だわ…さ、始めましょうか…」
教官がテーブルから離れていく。
同じテーブルに座っていた新入社員が、沙都子に向かって親指を立てて突き出した。
「やるじゃん」
「えっ?」
その時から、沙都子への風当たりは緩くなった。
決して会長の孫娘という色眼鏡は外れなかったが、少なくとも同期の仲間として迎え入れられたようだ。
「東堂さん、会長がとても心配していらっしゃいます。可愛いお孫さんのことを…」
「やめてください!私は他の方と一緒に研修を受けることを条件にこの会社に入ったんです。それを邪魔しないで…」
「はいはい…お嬢様の癖に粋がらないでくださいよ…」
「高宮っ!」
「なんでしょう」
「取り消しなさい、高宮…」
「どうせ結婚されるまでの腰掛けなんでしょう?」
「高宮っ!」
思わず頬を叩いた。
「あ…」
「お見事。では午後の研修を。邪魔して済まなかった」
高宮は教官に話しかけると、そのまま研修室を出て行った。
辺りがシーンとしている。
沙都子は思わず周囲に向かって頭を下げた。
「お、お騒がせしてしまって…すいませんでした!」
「い、いいのよ…東堂さん、ご立派だわ…さ、始めましょうか…」
教官がテーブルから離れていく。
同じテーブルに座っていた新入社員が、沙都子に向かって親指を立てて突き出した。
「やるじゃん」
「えっ?」
その時から、沙都子への風当たりは緩くなった。
決して会長の孫娘という色眼鏡は外れなかったが、少なくとも同期の仲間として迎え入れられたようだ。