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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

もしかしてここに、鍵があるのかもしれない。

自分と沙都子、そして高宮。

この三角関係を崩せないとしたら…。

大階段を降りて行くと、玄関フロアに出る。

神山はそこに佇む高宮を見つけた。

「高宮…」

「神山さん」

「どうした。何かあったか」

「いいや…沙都子様のご様子は?」

「ああ…聞いた。お前のこと引っ叩いたんだって?」

「早耳ですね…」

高宮の表情が能面のようになった。

「…お前…沙都子様のことになると、わかりやすいよな…」

「えっ…」

「いつものポーカーフェイスはどこ行ったんだ?」

クスクス笑っていると、高宮が見る間に赤くなる。

そう、本来の高宮はこういう男なのだ。

神山はそれを見て懐かしい気分になる。

高宮が留学する前の、あの頃のように。

「沙都子様は、感謝していたぞ」

高宮は少し驚いたような顔をして、神山の顔を見つめた。

すぐ目をそらすと、庭を見た。

「そうか…お元気ならいい…」

そのまま玄関の大きな扉を開けて出ていこうとする。

「待て…沙都子様に会いに来たんじゃないのか」

「俺はもうこの館の担当じゃない」

「高宮」

「神山さん」

高宮はがっしりと神山の両腕を掴んだ。

「沙都子様を、頼みますよ」


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