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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

「失礼」

高宮は麻紗の車に近づくと、絢の座っている助手席のドアを開けた。

「絢様。少し、お話しませんか?」

そう言って優雅に絢に手を差し出した。

それを見た神山も運転席のドアを開け、勝手にエンジンを停めた。

「麻紗様もどうぞ」

そう言って手を差し出した。

二人はまた呆然としたまま、車から降りた。

沙都子は半べそのまま、呆然としている。

二人のやろうとしていることが皆目わからなかった。



館のガーデンテラスに温かい紅茶が用意された。

「お時間がございませんので、手早くお話いたしましょう」

そう言って神山は沙都子を促した。

「ごめんね…上手く説明できないかもしれないけど…」

沙都子はつっかえながらも、改めて11月からの出来事を語った。

そして最後に、二人に東堂の家のことを言い出せなかったことを詫びた。

高宮と神山はそんな沙都子を温かい目で見守った。

「いいよ…さとが言いづらかったのわかるから」

「そうだよ。気にしないの。沙都子」

麻紗と絢が沙都子の肩に手を置いた。

高宮はテーブルに近寄ると、紅茶を淹れなおした。

「あれ…高宮さんも執事なんですか?」

「あ?ええ…実は…つい先日まで、こちらの専任でございました」

「え?じゃあ今は?」

麻紗と絢は遠慮なく、ガンガン質問を飛ばし始めた。

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