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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

「げ、現在は東堂の本社にて、沙都子様の上長になる予定です」

「えっ!?ほんとに!?」

「う、うん…」

沙都子が頬を染めて答える。

「じゃあ、神山さんは今までどこに居たんですか!?」

絢が食い気味に質問する。

「わ、私は本邸にて怪我をした家令の代行をしておりましたが、家令が復帰しましたので、こちらの館の専任になりました」

「わあああすごい!執事って本当に日本に生息してたんだねえ…!」

麻紗は興奮すると物言いに遠慮がない。

「せ、生息するって…言い過ぎよ」

絢が麻紗を窘める。

「あ、ごめんなさい…」

「い、いえ…珍しいでしょうし、気にしておりません」

「さと、本当に東堂の本社勤務なの?」

「うん…今はまだ研修中で、配属先は決まっていないの」

「凄いねえ!私達で一番の出世頭だよ!」

コロコロ変わる話題に、神山も高宮もついていけないでいた。

さすが先月まで女子大生だった3人だ。

「さあ…こうしていては日が暮れますよ。横浜に出発しないと」

「あー!そうだった!さと、絢、行くよ!」

麻紗が慌てて立上がる。

「では表に車を回しましょう」

高宮がさり気なく沙都子の椅子を引く。

沙都子は自然に、差し出された神山の手を取って立ちあがった。

麻紗と絢は目を合わせた。

「え?なに?どうしたの?」

「ううん。なんでもない…」

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