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お嬢様と二人の執事

第1章 沙都子

一通り使用人の紹介が終わると、館を案内されて自室に通される。

高宮が部屋のドアを開けて、沙都子を中に導く。

「わぁ…」

そこは絵本に出てきそうな部屋だった。

白い木枠のソファに大理石のテーブル。

暖炉があり、そこには赤々と火が入っている。

「こちらは居間でございます。隣には寝室が、こちらにはバスルームがございます」

隣の寝室に行ってみると、天蓋付きのベッドがあった。

「こんなの…絵本の中でしか見たことないわ…」

高宮がくすっと笑う。

急に沙都子は恥ずかしくなって、口を閉じた。

「沙都子様、ディナーの洋服をご用意してございます」

「え?夕食用の服?」

「左様です。ディナーはドレスアップして頂きます」

高宮がソファの上に置いてあった箱を持ち上げた。

「こちらは会長からの贈り物でございます。どうぞお召ください」

入り口から、女性の使用人が2名入ってきた。

「お召し替えは、この者達がお手伝いいたします」

「あ、え?一人でできます」

「この者たちを失業させたいのですか?」

くすくす笑うと、高宮は使用人達に頷いた。

「それでは後ほど」

胸に手を当てて礼をすると、高宮は部屋を出て行って、ドアを閉めた。

「よ、ろしく…」

二人の使用人はにっこりと笑った。

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