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お嬢様と二人の執事

第1章 沙都子

「おお…沙都子…」

亘が大食堂の席を立って、歩み寄ってくる。

「見違えた…すっかりレディーだな」

そう言うと、沙都子の手を取った。

手の甲に口吻すると、ウインクをした。

「お祖父様…」

薄いブルーのドレス。

全体に、品のいいスパンコールが散らしてある。

肩の部分はふんわりとした素材で、可憐さを演出していた。

胸の部分が大きく開いて、輝くネックレスを引き立たせている。

そのネックレスは、沙都子の美貌を引き立たせた。

黒黒とした髪を夜会に巻き上げて、大人びた印象にしている。

「さあ、エスコートしよう」

亘が沙都子の手を取って、先に進む。

席に座らせると、そのまま自分の席につく。

隣に立った神山に目配せすると、料理が運ばれてきた。

「お祖父様…私、マナーがよくわかっていません」

「大丈夫だ。今日から神山がみっちり教育する」

そう言って、いたずらっぽく笑った。

「…厳しそうですね…」

そういうと、亘は声を上げて笑った。

「この神山だって、人間だ。入って来た頃は、フットマンとして全く役に立たなかった」

「え?」

「会長…」

神山が焦っているのがおかしくて。

沙都子はつい、口に手を当ててわらってしまった。

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