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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

表に回された車に乗り込み、3人は出発した。

「いやーびっくりしたわ…」

麻紗がバックミラーを直しながらため息混じりに喋り出した。

「しかしいい男よね…二人共」

「そうだよねー!高宮さんも凄くかっこいいと思ったけど、神山さんも凄くかっこいいよね!」

「ちょ、ちょっと麻紗ちゃん!」

「いいなー沙都子、あんな二人に囲まれて生活できて」

「絢ちゃんまで!」

その二人に肉体を開いているなど、到底話せることではなかった。

沙都子の内面を蝕むように、そのことで頭が一杯になる。

昨夜も失神するほど、神山に苛まれた。

思い出すと身体の奥が、ジンとする。

溜息をついて、なんとかそれを逃すと、後部座席のシートに身体を深く沈み込ませた。

「さと?どうしたの?」

静かになった沙都子に気づいた麻紗が声をかけるころには、沙都子は夢のなかに居た。




車は第三京浜に入り、横浜新道に乗った。

今井出口を降りると、戸塚区にある小高い山の墓地に車は到着した。

「沙都子、着いたよ」

絢が沙都子の髪を優しく撫でながら起こす。

「悟…もうちょっと…」

言いながら、また眠ってしまう。

「えっ…」

麻紗が先ほど神山から貰った名刺を引っ張りだす。

「神山さんの名前…悟…」

絢と麻紗はまた目を見合わせて、じっと考えこんだ。

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