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お嬢様と二人の執事

第11章 桜

「やめてっ…!」

思わず沙都子は立ちあがった。

手が震えるのを止められない。

どうしよう…この二人には知られたくないのに…二人の男に抱かれていることも、あんなはしたなくなる自分も…そして、二人の間で揺れ動く自分も。

「沙都子…どうしたの?」

「あ…ごめん…」

「ごめんじゃわからない。言いなよ」

絢の厳しい追求が始まった。

「沙都子、様子がおかしいよ?」

絢はまっすぐな性格で、何事もどこか引っかかると納得しない。

沙都子の態度に不穏な物を感じた絢は、全て吐かせようと更に追い詰める。

「まあまあ絢ちゃん…」

そっと麻紗の両手が、沙都子の肩に掛けられた。

沙都子を椅子に座らせると、自分もまた腰掛けた。

「そんなに怖い顔してたら、さと何も言えなくなっちゃうよ」

ふんわりと麻紗は笑った。

「麻紗ちゃん…」

その笑顔に、沙都子は救われた気がした。

「私…二人とも好きなの…」

「え?」

絢の目が大きく見開かれた。

麻紗は沙都子の手を握りしめた。

「私…神山さんも、高宮さんも…両方が好きで…」

「沙都子…」

「最初は神山さんが好きだった…でも、高宮さんの辛い過去を知ってしまったら…私…」

沙都子の目から、また涙がこぼれ落ちた。

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