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「そう…沙都子、笑っていなさい」

「え？」

「辛かっただろう…だがね、悔いていても時は流れていく…」

「お祖父様…」

「だから、なるべく笑っていなさい。
そうすれば、幸福は自ずと向こうからやってくる。
今の私のようにね…」

「…はい。お祖父様…」

「よい返事だ。さあ、食べよう」

食事は至極美味しく、沙都子は夢のような気分で食べ進めていく。

「沙都子、どうだね？口に合うか？」

「はい。お祖父様、とても美味しいです」

チラと神山を見ると、頷いている。

自分のマナーは大丈夫なんだろうかと、沙都子は心配になってくる。

「沙都子、どうした？」

亘が沙都子に声を掛ける。

「いえ…私の食事のマナーは大丈夫でしょうか？」

「ああ…なにも問題ないな…どこかで習ったのか？」

「いいえ…あ、でもお母さんに…」

「雪芽に習っていたのか？」

「いいえ…普段から口うるさく言われていましたが、習ってはおりません」

「そうか…」

亘は遠い目をして、グラスのワインを口に含んだ。

「普段から、沙都子をどこに出しても恥ずかしくないよう、気をつけていたんだろうな…あの子らしい…」

「お祖父様…」

亘は少し淋しげに微笑むと、沙都子に目を向けた。