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お嬢様と二人の執事

第12章 主人と執事と上司

高宮が持ち込んだノートパソコンの前に座ると、高宮が後ろからマウスを操作し、メールを開く。

「わ…。これは買いね?」

「ええ。そう報告を上げてもよろしいかと思いますよ?」

沙都子の大学までの成績は決していいとは言えなかった。

どこか隙があって、いつも先回って考えることが苦手だったが、どうだろう。

今の沙都子はいきいきと仕事を楽しんでいる。

まるでそれが、以前からの沙都子であったかのように。

「ありがとう!一番にメール見せてくれて!」

「いいよ。君に情報を上げるのが一番の早道な気がしてきたから」

「え?」

「なんでもない。さ、行きなさい」

「はい。後で、ミーティングお願いします」

「時間を取ろう」

「ありがとう」

沙都子がブリーフィングルームを出て行くと、高宮は自然に笑みが漏れた。

スケジュールに沙都子のチームとのミーティングを入れ込むと、送信してブリーフィングルームを出た。

「部長、おはようございます」

「高宮部長、ちょっとこの書類…」

一斉に社員たちが群がってくる。

ひとつひとつ捌きながら、高宮は沙都子を見つめる。

お変わりになられた…

蛹が蝶に変身するように。

沙都子は変貌を遂げた。

その鮮やかな変貌を目の前でみられたことに、高宮は酷く満足している。

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