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お嬢様と二人の執事

第12章 主人と執事と上司

沙都子は艶然と微笑むと、二人の頭を抱き寄せた。

「では今、二人で私を抱ける?」

「え?」

「沙都子様…」

「抱きなさい」



その夜から。

3人の関係は劇的に変化した。

沙都子は本物の女主人へと変貌を遂げた。

それとともに、神山と高宮にも変化を迫られた。

二人は焦っていた。

先を進む沙都子の背中に追いつかねばならない。

そうしないと、愛する人を一生失うことになってしまう。

しかしまだ、神山と高宮の心にはお互いに対する対抗心が残り、上手く状況を打開することができない。

これではいけないとわかっていながら、沈思する日々が続いた。

そんなある日、休日に紅茶を楽しむ沙都子が神山に言った。

「神山。人にはそれぞれ役割があるわ。それが分かれば、それに添って動くだけじゃないかしら」

紅茶をふーふーしながら、あどけない顔をしている。

だが言っていることは、神山が以前から考えていた事を射抜いた。

「左様でございますね…」

微笑んだ神山を見て、沙都子は満足そうにベーグルに手を伸ばした。

「太りますよ…」

「じゃあ用意しないでよ…」

ティーセットを下げると、すぐに神山は高宮に連絡をした。

高宮はすぐに館にやってきた。

神山の顔を見ると、少し顔を強張らせた。

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