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お嬢様と二人の執事

第12章 主人と執事と上司

それからの2年は3人に取って、慌ただしく過ぎていった。

神山は東堂の屋敷を徐々に城に代わり、正式に取り仕切るようになり、東堂の家の顔になっていった。
どんなことも正面からぶつかり取り組む神山に、使用人たちは心酔している。

高宮は沙都子の上司となり、常に沙都子をフォローしつつ、留学時代に学んだことと天性の才能で、東堂の経営に大きく貢献し続けていた。

沙都子は研修が終わり、正式配属された先で独自の地位を築いた。1年後には後継者に指名され、増々その地位を確固たるものにしている。




たまに、東堂本社に神山が沙都子を迎えに来る。

正面エントランスで沙都子を待つ神山の姿を、何人もの女子社員が遠巻きで見つめている。

そこに高宮を従えた沙都子が颯爽と現れ、二人を従えて歩く様は、まさに女王だった。

それをみた女子社員の口からはため息が漏れた。

既に沙都子は社員の心を掴み始めていた。

25歳という若さ。

そして光り輝く美貌と才気。

影のように付き従う2人の男。

妬むなどというレベルはとっくに通り越していた。

この年若い女王を東堂のトップに迎える日を、社員は待ち望んでいた。

亘の健康状態の悪化もあったからだ。

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