お嬢様と二人の執事
第13章 未来への階
この取締役会でいくつかのことが決まった。
そのメインは東堂グループの持ち株会社化といくつかの企業の統廃合。
そして、持ち株会社での沙都子と高宮の取締役就任だった。
基本的に従業員の雇用は守りつつ、上層部にはきっちりと責任を取らせる。
空いたポストには若くても実力のある人間を引き上げ、グループ内は一気に若返りを図る結果になった。
もちろんこの陰に高宮と神山の手腕があったのは言うまでもない。
グループ内の調整や人事に関しては高宮の能力が光った。
天性の人たらしといわれる高宮はなんでもない顔で各社の内情を調査し、的確な人事案を提案していった。
一方、神山は社外の状況を冷静に分析し、世論を読む。
二人からの情報を融合させ判断を下していったのは沙都子だった。
もちろん、いまだに東堂グループの中では一介の社員に過ぎない沙都子。
沙都子の下した判断は高宮がうまくルートに乗せて行く。
結果、沙都子の意思が少しずつ浸透していった。
そして沙都子が担った役目はもう一つあった。
会見などの表舞台に立った。
あくまでも東堂本社と呼ばれているグループトップの商社のグローバルマーケティング部の人間としてだ。
謝罪するグループ各社の首脳部の会見の補佐に回り、マスコミ各社への対応を引き受けていた。