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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

一息ついたところで沙都子が高宮に声をかける。

「高宮…、一人ね、他社からヘッドハンティングしたい人がいるんだけど。

その人にね、うちのアパレル部門を任せたいと思ってるんだけど…手を貸してくれないかしら?」

難しい顔をして沙都子が言う。

「かしこまりました、沙都子様。早急に手配いたします。」

そういって微笑む高宮に沙都子は不思議そうな表情をする。

「手配って…誰をヘッドハンティングするか聞かないの?」

「聞かなくてもわかりますよ…。絢様でしょ?」

沙都子は驚きつつ頷いた。

「なんでわかったの?」

「それはまぁ…沙都子様のことですから。大概のことはわかると自負しておりますが?」

「なんだかそれって…私の考えた浅いと言外に言われている気分だけど。」

沙都子の顔が一気に膨れる。
その表情はとても大企業の取締役の顔とは思えない、幼いものだった。

そんな沙都子に高宮はいたずらっぽい顔で言う。

「何をむくれているんですか?そういうところは本当に変わらないですね、貴女は。」

「そんなこと…ないもん」

沙都子は小声で呟き、表情を隠すようにカップを口元に添える。

そんな沙都子の姿を高宮は微笑みながらみている。

窓から夕日が射し込み部屋をオレンジ色に染め上げる。

高宮はクスクスと小さく笑ってさらにつづけた。

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