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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

「ようこそお越しくださいました、絢様、麻紗様。沙都子様がこちらでお待ちです。」

にこやかな面持ちの神山に迎えられた絢と麻紗。

二人ともスタイリッシュなスーツに身を包みキャリアウーマンといった風情である。

絢は卒業後入社した外資系のコンサルタント会社で順調にキャリアを重ねていた。

絢の鋭い感性と仕事に対するストイックさ、状況判断能力の高さは絢が担当した会社の業績がV字回復することで十分に証明されていた。

いまやあちらこちらの会社から直接指名が入るほど、優秀なコンサルタントになっていた。

一方、麻紗は法科大学院に入学したあと、予備試験を受験し見事合格し、そのまま司法試験を受験した。

それまでの努力が実り無事、司法試験に合格。

弁護士になるのにかかる標準的な年数を大幅に短縮して、司法修習生になり修了試験も無事合格して、弁護士登録をし、弁護士として法律事務所に所属していた。

「ご無沙汰しています、神山さん。あの時以来ですね?お元気でしたか?」

「はい、絢様、おかげさまで。絢様のご活躍は耳に届いております。」

「ふふふ、神山さんお上手ね?」

「いえいえ、そんなことはございません。」

そこにぱたぱたとこの場の雰囲気に合わない足音が聞こえてきた。

一瞬眉を顰めた神山はその足音の主に対して言う。

「沙都子様…お気持ちはわかりますが、あまり関心しませんね?」

当然のように神山が沙都子をたしなめた。

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