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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

神山の声を無視するように沙都子はその場にいる親友に抱き着く。

「麻紗ちゃん、絢ちゃん!会いたかった!」

その姿は巨大グループの次期女王のものではなくごくごく普通の20代の女性のものだった。

「さと!元気だった?テレビ見たよ。思わず周りに自慢しちゃった!」

「沙都子、今日はお招きありがとう。わかってはいたけど…相変わらずすごいね、ここ。別世界って感じで…。」

「二人とも来てくれてありがとう。話したい事、たくさんあるんだけど…とりあえず食事にしない?」

神山を先頭にダイニングに入る沙都子たち。

そこには高宮も待っていた。

「ご無沙汰しています、麻紗様、絢様。」

高宮が綺麗なお辞儀で二人に挨拶をする。

「高宮さん、お久しぶりです。今も沙都の上司なんですか?」

「便宜上、そうなっていますが実態はそうではないと申し上げておきます。」

ホールディングスの取締役としては高宮の方が上に名前を掲げているが、取締役会では沙都子のほうが上席扱いである。

実際の業務を考えるとどっちが上かは特に関係ないので普段、二人は特に気にも留めていなかった。

「麻紗様は弁護士になられたんですよね?専門は何になるのですか?」

高宮がさりげなく麻紗に尋ねた。

弁護士と言ってもそれぞれ専門がある。
刑事事件専門や民事事件専門、そのほかにも企業買収などを専門にする弁護士、労働法や著作権、特許など各種の権利を守る弁護士など様々である。

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