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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

「私は会社法をメインに企業向けの法務などを専門にしています。」

麻紗が綺麗な瞳に落ち着いた光を湛えて言う。

「弁護士を目指した当時は刑事事件をメインに弱者の弁護をと思ってたんですけど…沙都子のことを聞いてから企業と法律について興味が出てきて…結局そっちを専門にしようと勉強をしたんです。」

「そうなんですね…。」

それを聞くと高宮が意味ありげな視線を沙都子に投げた。


その後は賑やかに食事の時間が過ぎた。

普段、給仕に徹する神山も屋敷にいるときには執事のような風情の高宮も絢と麻紗とそして沙都子に請われてその日は一緒に食卓を囲んだ。

その時間はとても暖かく、心躍る時間になった。

食事が終わり、デザートが出てくるころになって沙都子がようやく今日の本題に入った。

「絢ちゃん、あのね?相談っていうかお願いっていうか…。」

普段は的確に指示を出し、素早い決断で会社運営の一端を担っている沙都子。

しかし今日は打って変わって歯切れが悪い。

「ん?沙都子どうしたの?なんかあるんでしょ?私に話したいことが。」

「うん…。」

「大丈夫、怒ったりしないから言ってごらん?お姉さんが聞いてあげるよ?」

「お姉さんって…絢、同い年じゃん」

麻紗が的確な突っ込みを入れる。

その様子に沙都子が小さく笑い、場の空気が和やかなものになる。

「あのね、絢ちゃん…。絢ちゃんお力を貸してほしいの。」

沙都子は絢のことを見つめながら言った。

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