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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

「うちの…東堂のアパレル部門を、絢ちゃんに任せたいと言ったら…迷惑…かな?」

沙都子が半分泣きそうな顔で絢を見つめた。

突然の沙都子の申し出に一瞬戸惑った顔の絢だったが、次の瞬間には笑顔に戻っていた。

「いいよ。」

「え?絢ちゃん…。」

「いいよ、沙都子が私の力を必要と言ってくれるなら…、私、今の会社をやめて沙都子のところに行くよ?」

そんなにあっさりと承諾を貰えると思わなかった沙都子は心底びっくりした顔をした。

それは高宮も同じで、感情を見せないタイプの高宮が珍しく真顔で驚いている。

それを神山は穏やかな瞳で見つめていた。

「そんな驚いた顔しないでよ?これってありえないようなチャンスだよ?

 東堂みたいな大きなところで自分の実力を試せるって…正直この年齢じゃ本来ならありえないことじゃない?

例えそれが沙都子のコネと言われても…ここで逃げたら女が廃るわ。

それにね…沙都子の傍で沙都子の力になれるなんて…すごく嬉しいの。

だから…これからよろしくね?」

絢が沙都子に手を差し出す。
沙都子はその手を握りありがとうって小さく言った。

「いいなぁ、絢は…。」

麻紗が小さく呟いたのを高宮は聞き逃さなかった。

いいと思う人材は離すべきではない。

高宮がこれまでの経験で得てきたことだった。

高宮の瞳に光が宿った。

その瞳のまま高宮は羨ましそうな顔で沙都子と絢を見つめる麻紗に声をかけた。

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