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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

3人で客間のリビングスペースでグラスを重ねる。

久しぶりの楽しい時間。
互いの近況を伝え会い、ちょっとしたことで笑い、沙都子にとっては久しぶりに年相応の女の子に戻る時間になった。

「そういえば…沙都子、沙都子のお祖父さんの体調はどうなの?」

「卒業の時にお会いしたっきりだもんね、さとのお祖父さんと。」

「うん…今、お祖父様は軽井沢の別邸にいらっしゃるの。東京よりもずっと空気も綺麗だしのんびりできるって。」

「そうなんだ。沙都子、お祖父さんに会いにいってるの?」

「ここのところ、行けてないの…。報道で出てるよりもずっと中はぐちゃぐちゃで…。」

二人に東堂グループに来てもらえることになって今まで話せなかったことも話せるようになり自然と口が軽くなる沙都子。

もちろん、例え東堂に二人が来ることになっても話せることの限界があるのは事実だがそれでも今までに比べるとだいぶ自由度が上がる。

心に堪った澱を吐き出すように沙都子はこの晩、饒舌だった。

「軽井沢だよね?ねー、さと?さとも明日お休みだよね?」

「うん、もちろん、休みだよ?」

「じゃぁさ、明日、軽井沢に行こう?」

「あっ、麻紗、ナイスアイディア。私たちも東堂グループの末端に連ならせて貰うんだもん、ご挨拶したいよね?」

「だよね?軽井沢なら東京から車で3時間掛かんないじゃん?」

「でしょ?沙都子、行こう、軽井沢に。車は私出すよ。ね?沙都子、そうしよう?」

絢と麻紗がこうなったらもう止められない。

沙都子は笑って、頷いた。



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