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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階

支度を終えて出てきた沙都子に神山が何も言わずに沙都子の前にティーカップを出した。

「ありがとう。」

そう言って沙都子はカップを口元に運ぶ。

その沙都子に高宮が言う。

「沙都子様…お二人も昨日は遅くまで起きてらしたんでしょ?車はこちらで出しましょう?よろしいですか?」

確かに昨晩は思いのほか盛り上がり、しかも帰りの心配がなかったのでいつもよりも3人、よく飲んだ気がする。

二人が車の運転が好きなのは十分に知っているけど無理はさせたくない。

そう思った沙都子は素直に高宮の提案に乗った。

「神山さんはどうする?一緒に来る?」

「当たり前なことを聞くなよ。もちろん行くに決まってるだろう?」

そんなやり取りのあと、まずは麻紗が、続いて絢が戻ってきた。

5人は神山が用意したキャデラック ESCALADE プラチナムに乗り込み軽井沢に向かう。

行きは神山が、帰りは高宮が運転することになった。

誰がどこに乗るかで多少やり取りがあったが結局じゃんけんで決めた。

今ではすっかりお嬢様といった風情の沙都子も元は普通の環境で育っている。

譲り合うよりじゃんけんの方が手っ取り早いというのが沙都子の考えだった。

こうして決まった座席。

運転席の神山の横に絢が、高宮と麻紗が2列目、そして沙都子が一人で後部座席に座る。

高宮が後部座席に座ると主張したが、じゃんけんで決めたことだからと沙都子も譲らず、結局、こんな座席になった。

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