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お嬢様と二人の執事

第13章 未来への階


亘に席を勧められた5人。

しかし、神山と高宮は自分の立場では主人と席をともにすることは出来ないと固辞し、城を手伝うため後ろに下がっていった。

リビングに残った亘と沙都子たち。

外の広大な庭から聞こえる鳥の声。
静粛がその場にあった。

とはいえその場が緊迫していたわけでもなく、沙都子も亘もその静かな空気を楽しんでいた。

しゃべらなくてもいい関係。
沙都子のことをよく知る二人も敢えて口を出さなかった。

不思議な時間はそこまで長くは続かなかった。

しばらくして城と神山がワゴンに乗せたティーセットを持ってきた。

そのワゴンが視界に入った麻紗が思わず歓声をあげる。

「すごーい!本格的なやつだ!」

「麻紗、はしたないよ?でもすごい!英国式のアフタヌーンティー?」

麻紗を嗜めつつも絢も興奮を隠せなかった。

「お待たせいたしました。皆様、昼食を召し上がったと聞きましたのでこちらをご用意いたしました。」

城の口上を聞きながら神山と高宮がローテーブルに次々とサーブしていく。

その様子を見て亘が城に声をかける。

「城、しばらくの間、休んでで構わんよ。ここには神山と高宮がいる。二人に任せればいいだろう?」

亘の顔を見て主人の言葉の裏にあるものを即座に理解した城はその言葉に素直に従う。

「ありがとうございます、亘様。ではお言葉に甘えてしばらく失礼いたします。神山、高宮、あとを頼んだよ?」

その言葉に頷くしかない二人だった。


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