お嬢様と二人の執事
第1章 沙都子
翌日からは、ゆったりと時間が流れた。
ゆっくり休むようにと亘から言われて、沙都子は大学に連絡を入れた。
学生課では、病欠ということで扱ってくれた。
ただし、単位までは保証してくれない。
休んだ後、必死で追いつかなければならない。
しかし沙都子の身体は、休息を欲していた。
朝になると気だるく、定刻に起き上がれない日が3日ほど続いた。
しかしそれを過ぎると、まだ若い沙都子の肉体は、みるみる回復を見せた。
頬に赤みが差し、若者らしい表情が蘇ってきた。
毎朝、両親の遺骨に手を合わせ、水を供える。
時には庭で貰った花を添えた。
亘はそれを、花でも愛でるように眺めた。
その姿は、幼いころの自分の娘を彷彿とさせた。
この孫娘を幸せにしたい。
しかし、自分の命の灯火はいつ消えるとも知れない。
この娘が一人になっても生きていけるように、何か遺していってやらなければ。
高齢の身体に鞭打ち、会長職を勤めながら、亘は考えこむことが多くなった。
「旦那様…?」
家令の城が、腰を擦りながら声を掛ける。
暖炉の火を眺めたまま動かない主人を心配している。
「城…無理をするな…もう少し休んでいていいんだぞ」
「あまり休んでおりますと、私の仕事がなくなってしまいます…」
微笑みながら言うと、また腰を擦りながらお茶を淹れる。
「お互い、齢をとったものだ…」
「左様で…旦那様…」
ゆっくり休むようにと亘から言われて、沙都子は大学に連絡を入れた。
学生課では、病欠ということで扱ってくれた。
ただし、単位までは保証してくれない。
休んだ後、必死で追いつかなければならない。
しかし沙都子の身体は、休息を欲していた。
朝になると気だるく、定刻に起き上がれない日が3日ほど続いた。
しかしそれを過ぎると、まだ若い沙都子の肉体は、みるみる回復を見せた。
頬に赤みが差し、若者らしい表情が蘇ってきた。
毎朝、両親の遺骨に手を合わせ、水を供える。
時には庭で貰った花を添えた。
亘はそれを、花でも愛でるように眺めた。
その姿は、幼いころの自分の娘を彷彿とさせた。
この孫娘を幸せにしたい。
しかし、自分の命の灯火はいつ消えるとも知れない。
この娘が一人になっても生きていけるように、何か遺していってやらなければ。
高齢の身体に鞭打ち、会長職を勤めながら、亘は考えこむことが多くなった。
「旦那様…?」
家令の城が、腰を擦りながら声を掛ける。
暖炉の火を眺めたまま動かない主人を心配している。
「城…無理をするな…もう少し休んでいていいんだぞ」
「あまり休んでおりますと、私の仕事がなくなってしまいます…」
微笑みながら言うと、また腰を擦りながらお茶を淹れる。
「お互い、齢をとったものだ…」
「左様で…旦那様…」