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お嬢様と二人の執事

第14章 遠い道

高宮はなにがなんだかわからなかったが、とりあえず神山の後を追った。

処置室に駆け込んでいく後ろ姿は見えていたので、覗き込んで見る。

「兄さん!兄さん!」

神山の必死な声が聞こえる。

「あ…ん…?あ、悟…もう来たの?」

「寝てる場合かよ!怪我の具合はどうなんだよ!?」

「あ、大丈夫だよ?」

「お医者さんは!?どこ行ったの?」

「だから大丈夫だって…」

神山は処置室のカーテンを乱暴に開けると、医者の姿を探し始めた。

高宮の後ろから看護師が入ってきた。

「神山智紀さーん?」

「あ、はい。神山の家族です」

「ああ、ありがとうございます。お怪我は大したことはないのですが、貧血気味だったので点滴を受けていただきましたので…」

「ええっ!?」

「診察の最中に気を失われたので…」

「兄さん…」

「もう大丈夫だよ…悟」

「本日はもう結構ですよ。この診察券を受付に出して、精算をお願いします。支払いは交通事故なので、発生しませんので」

「あ、はい。恐れいります」

その後、神山は警察と話をして、相手方の保険会社の連絡先を確認して引き上げてきた。

「兄さん、明日警察署行ってくれって。調書作るからって」

「ああ、分かった」

立ちあがった神山の兄は、よろけて神山の腕に掴まった。

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