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お嬢様と二人の執事

第14章 遠い道

それから数日して、高宮は本当に智紀と連絡をとった。

神山がはらはらしていたが、高宮はそんな神山を見て、密かにほくそ笑んでいた。

日頃取り澄ましている神山が、智紀のこととなると取り乱すのが面白かったのだ。

待ち合わせ場所は代官山のカフェだった。

意外な場所を指定されて、高宮は戸惑った。

智紀の家は三鷹だったのに…。

「高宮さん、ここです」

オープンカフェの外の席から、智紀が手を振る。

「すいません。智紀さん、お待たせしました」

「いえ、僕も今来たところです」

そう言ってコーヒーカップを持ち上げた。

高宮はコーヒーを頼むと、智紀の顔をしげしげと眺めた。

「何かついていますか?」

「いえ…寝ぐせが…」

「あ…すいません。水道が止まっていて…」

「えっ…コーヒー代はあったんですか!?」

「いえ…でも、後ろの席の女性が奢ってくれました」

そう言って智紀は後ろを振り返った。

後ろの席の女性は、智紀と目が合うと倒れそうになっていた。

え?そんないい男か…?

ひょろりとした身体は、明らかに栄養不足。

困ったように下がった眉毛に垂れ下がった目。

鼻筋はすっと通って、唇は薄い。

神山とは似ても似つかぬ、薄い男だ。

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