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お嬢様と二人の執事

第14章 遠い道

だけど…

なぜだか、女性の目を引いている。

服装もおしゃれとは言えないのに、なぜだろうか。

「僕、困っているといつも誰かに助けて貰えるんです…。
代官山にアトリエがあるのも、兄のお陰なんです」

「え?」

「大学出たら、僕、絵を描く場所が無くなっちゃって…。一枚も描けなかったんです。
でも親に頼るのも違うと思って、意地はってたんですが…結局、兄に助けて貰いました」

「ああ…あのお兄さんですか…」

たしか親弘とかいったな、と高宮は思い出していた。

神山には一切笑顔を見せなかったので、冷たい印象を受けた。

「僕、絵を描く以外なんの才能もないんです」

女をたらしこむ才能は有りそうなのに…

本人は一切気がついていないようだ。

「代官山は、兄が時々セカンドハウスとして使うのに借りているんです。
だから僕も気兼ねなくアトリエとして使っているんです」

智紀の話を聞きながら、増々高宮はこの人物に興味が出てきた。

なんでこんなに似てないんだろう。

悟と親弘は似ているところがあるように思う。

だが、この智紀の春風のような空気は一体なんだろう。

「智紀さん、飲み終わったら早速行きましょう。すぐに絵が見たい」

高宮ははやる気持ちを押さえられなかった。

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