テキストサイズ

お嬢様と二人の執事

第14章 遠い道

「それで、どうだったの?悟のお兄さんの絵」

沙都子がコーヒーカップに口をつけながら高宮を見ている。

ガラス張りのオフィスの外は、もう夕暮れが見えていた。

「沙都子様、それが…」

高宮は懐からミニタブレットを取り出した。

「ちょっとご覧ください」

沙都子がタブレットをスワイプしていくと、だんだん表情が変わってくる。

「高宮…これ、いい」

「沙都子様もそう思われますか?」

「悟はなんて言ってるの?」

「神山さんもいいものだと言っています」

「あ、これがお兄さん?」

一番最後の画像は、高宮が撮った智紀だった。

「ええ」

「ちっとも似てないのね。それに…」

「なんでしょう?」

「この人、ゲイっぽいわ」

「えっ…」

「あ、悟にこんなこと言っちゃだめよ?」

「あ、ハイ…」

高宮はへどもどしてしまった。

やはり女性は見るところが違う。

あの時感じた鈍さは、女性に興味がないということだったのだろうか。

「ねえ、長野に建設する美術館ってどこが担当していたかしら?」

「東堂記念美術館ですね…あれは確か…」

高宮が資料を出そうとした手を沙都子は止めた。

「本社でやりましょう。私が責任者になるわ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ