
お嬢様と二人の執事
第14章 遠い道
親弘と智紀がキスをしていたのだ。
思わず高宮は口を押さえた。
漏れ出そうな声を我慢するのに必死だった。
親弘の手は智紀のシャツに埋め込まれて、動いている。
智紀の頬は桜色に染まり、その手は親弘のジャケットの襟を握っている。
どこからどう見てもラブシーンだった。
そっと高宮は後ずさりしてアトリエに戻った。
「沙都子…凄い…」
勘が当たった。しかも近親相姦である。
神山は知っているのだろうか…。
チクリと胸が痛んだ。
あんなに心配していた兄が、そのまた上の兄とデキているなんて…。
高宮はなんとも複雑な心境を噛み締めた。
暫くすると、素知らぬ顔で二人は奥から出てきた。
「すいませんでした。お邪魔して」
そう言って親弘は頭を下げた。
「あ、兄さん。こちら悟の同僚の方だよ」
「…そうだったんですね。いつも悟がお世話になっております」
深々と親弘は頭を下げた。
「東堂ではグローバル・マーケティング部の部長を拝命しております、高宮一也と申します」
高宮がさっと名刺を差し出した。
「ほう…うちの社とも取引させて頂いております。いつもお世話になっております。
トウキョウマーケティング社、第一営業部の神山親弘と申します」
親弘は懐から名刺を取り出した。
企業データを扱う会社だった。
「私も、悟さんには大変お世話になっております。なくてはならないパートナーですよ」
そういうと、親弘はぴくりと片方の眉毛を上げた。
「そうですか…悟もやっと一人前になったんですね」
棘のある言い方だった。
思わず高宮は口を押さえた。
漏れ出そうな声を我慢するのに必死だった。
親弘の手は智紀のシャツに埋め込まれて、動いている。
智紀の頬は桜色に染まり、その手は親弘のジャケットの襟を握っている。
どこからどう見てもラブシーンだった。
そっと高宮は後ずさりしてアトリエに戻った。
「沙都子…凄い…」
勘が当たった。しかも近親相姦である。
神山は知っているのだろうか…。
チクリと胸が痛んだ。
あんなに心配していた兄が、そのまた上の兄とデキているなんて…。
高宮はなんとも複雑な心境を噛み締めた。
暫くすると、素知らぬ顔で二人は奥から出てきた。
「すいませんでした。お邪魔して」
そう言って親弘は頭を下げた。
「あ、兄さん。こちら悟の同僚の方だよ」
「…そうだったんですね。いつも悟がお世話になっております」
深々と親弘は頭を下げた。
「東堂ではグローバル・マーケティング部の部長を拝命しております、高宮一也と申します」
高宮がさっと名刺を差し出した。
「ほう…うちの社とも取引させて頂いております。いつもお世話になっております。
トウキョウマーケティング社、第一営業部の神山親弘と申します」
親弘は懐から名刺を取り出した。
企業データを扱う会社だった。
「私も、悟さんには大変お世話になっております。なくてはならないパートナーですよ」
そういうと、親弘はぴくりと片方の眉毛を上げた。
「そうですか…悟もやっと一人前になったんですね」
棘のある言い方だった。
