お嬢様と二人の執事
第1章 沙都子
施設の職員に声を掛けられ、両親が骨になったことを知る。
とても仲の良い夫婦だった。
もういい年なのに、一人娘である沙都子の前で手を繋いで歩くことも、日常茶飯事だった。
沙都子が窘めると、沙都子の手まで取って繋いでしまう。
どうして…。
私の手、離してしまったの…?
小さな部屋に連れていかれると、無機質な箱が二つ並んでいた。
その中には、沙都子の両親の骨があった。
瞬間、沙都子の中の激情が溢れ出た。
死に顔をみても、涙も出なかった。
なのにこの二人の骨を見た瞬間、沙都子の涙は留まることを知らず溢れだした。
両親を叫ぶような声で呼ぶ。
箱に縋り付くと、骨に手を伸ばし握りしめた。
こんな軽くなって…。
置いて行かないで。
職員がなんとか立たせようとするが、沙都子の身体は動かない。
箱に縋り付いたまま、咆哮を上げ泣き続ける。
どれくらいそうしていただろうか。
気がついたら、先ほど座っていた窓際のソファに座っていた。
膝の上には、二つの骨壷が載っていた。
ぽたりと、また涙が落ちた。
骨箱の上で、雫が滲んでいく。
「沙都子様…?」
聞き慣れない声が聞こえた。
見あげると、やはり知らない男性が立っていた。
「どなたでしょうか…?」
「私、神山と申します。落ち着かれましたか?」
そう言ってハンカチを差し出した。
「え…?あの…?」
戸惑っていると、沙都子の手を取りハンカチを握らせた。
「私、貴女のお祖父様の使いの者でございます」
とても仲の良い夫婦だった。
もういい年なのに、一人娘である沙都子の前で手を繋いで歩くことも、日常茶飯事だった。
沙都子が窘めると、沙都子の手まで取って繋いでしまう。
どうして…。
私の手、離してしまったの…?
小さな部屋に連れていかれると、無機質な箱が二つ並んでいた。
その中には、沙都子の両親の骨があった。
瞬間、沙都子の中の激情が溢れ出た。
死に顔をみても、涙も出なかった。
なのにこの二人の骨を見た瞬間、沙都子の涙は留まることを知らず溢れだした。
両親を叫ぶような声で呼ぶ。
箱に縋り付くと、骨に手を伸ばし握りしめた。
こんな軽くなって…。
置いて行かないで。
職員がなんとか立たせようとするが、沙都子の身体は動かない。
箱に縋り付いたまま、咆哮を上げ泣き続ける。
どれくらいそうしていただろうか。
気がついたら、先ほど座っていた窓際のソファに座っていた。
膝の上には、二つの骨壷が載っていた。
ぽたりと、また涙が落ちた。
骨箱の上で、雫が滲んでいく。
「沙都子様…?」
聞き慣れない声が聞こえた。
見あげると、やはり知らない男性が立っていた。
「どなたでしょうか…?」
「私、神山と申します。落ち着かれましたか?」
そう言ってハンカチを差し出した。
「え…?あの…?」
戸惑っていると、沙都子の手を取りハンカチを握らせた。
「私、貴女のお祖父様の使いの者でございます」