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お嬢様と二人の執事

第15章 夜明け前

「これは、沙都子様の幸せ、ひいては亘様の幸せのためです。
あなたのエゴのためなら、僕は何一つ協力なんてしない!」

ぐっと神山の顔を両手で持った。

「アンタは俺のライバルでもあるんだ」

低い声で言うと、神山が目を逸らした。

「悪かった…」

「分かればいいんです」

「一也…」

神山は高宮の腕を掴むと、強引に引き寄せた。

「すまん…このまま…」

「もう…慣れました。いいですよ」

諦めたように高宮が言うと、神山が笑った。

「情けないな…俺」

「…いいんです。僕には兄弟が居ないからあなたの気持ちはわからないけど…。推し量ることくらいはできます」

「ありがとう…」

神山は高宮の体温を感じていると、安心した。

もつれた心が解けていくようだった。

「明日、兄さんに会ってくる」

「わかりました」

「結果次第で…いや、このまま計画を推し進めよう」

「神山さん」

高宮が身体を離して、神山の顔を見た。

「いいんですか?」

「もう、これ以外いい方法が思い浮かばない。これ以上の策は…」

神山は苦い顔をした。

「兄さんの人生を踏み潰しても、やるしかない」

「…いいんですね。本当に」

「ああ…」

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