お嬢様と二人の執事
第16章 ともにする人
沈黙が支配するアトリエ。
黙ったまま絵画を見つめる沙都子とその沙都子を見つめる神山と高宮。
3人が作り出すトライアングルを智紀もまた、黙って見つめていた。
その目は審判を待っているような、あるいはもっと別のものを見ているような不思議な瞳だった。
ひたすら黙って何度も絵の前を行ったり来たりしていた沙都子がぴたりと止まった。
そしてくるりと綺麗なターンをして智紀の方を向く。
「すごい!智紀さん、本当に凄いわ!
これは間違いなく私たちの美術館の象徴になるわ!」
興奮しているのかいつもよりも早口で話す沙都子。
少女のように純真な笑みを浮かべた沙都子がそのまま智紀に抱きついた。
にっこりと一つ笑うとそのまま智紀の頬にキスをした。
「沙都子っ…様」
驚きのあまり、思わず普段の呼び方で沙都子の名を呼んであわてて敬称をつける。
その慌てぶりがかえって智紀に3人の関係性を悟らせてしまうのではないかと思うほど取り乱していた。
しかし…そんな2人を気にすることもなく智紀はあくまでもマイペースに鷹揚とした態度で腕に飛び込んできた沙都子を抱きしめ、おかえしのように頬にキスをする。
「ふふふ、こんなに喜んでもらえたら、絵描き冥利に尽きるね?」
智紀の行動に呆然としている神山たちを尻目に智紀は言葉を繋ぐ。
「でもね、これ、まだ完成じゃないんだ」
黙ったまま絵画を見つめる沙都子とその沙都子を見つめる神山と高宮。
3人が作り出すトライアングルを智紀もまた、黙って見つめていた。
その目は審判を待っているような、あるいはもっと別のものを見ているような不思議な瞳だった。
ひたすら黙って何度も絵の前を行ったり来たりしていた沙都子がぴたりと止まった。
そしてくるりと綺麗なターンをして智紀の方を向く。
「すごい!智紀さん、本当に凄いわ!
これは間違いなく私たちの美術館の象徴になるわ!」
興奮しているのかいつもよりも早口で話す沙都子。
少女のように純真な笑みを浮かべた沙都子がそのまま智紀に抱きついた。
にっこりと一つ笑うとそのまま智紀の頬にキスをした。
「沙都子っ…様」
驚きのあまり、思わず普段の呼び方で沙都子の名を呼んであわてて敬称をつける。
その慌てぶりがかえって智紀に3人の関係性を悟らせてしまうのではないかと思うほど取り乱していた。
しかし…そんな2人を気にすることもなく智紀はあくまでもマイペースに鷹揚とした態度で腕に飛び込んできた沙都子を抱きしめ、おかえしのように頬にキスをする。
「ふふふ、こんなに喜んでもらえたら、絵描き冥利に尽きるね?」
智紀の行動に呆然としている神山たちを尻目に智紀は言葉を繋ぐ。
「でもね、これ、まだ完成じゃないんだ」