お嬢様と二人の執事
第16章 ともにする人
「鏡はだめよね…確かに。」
沙都子はぶつぶつ言いながらアトリエの中を歩いている。
高宮に責められたことで智紀と沙都子のキスの衝撃から立ち直った神山はアトリエのキッチンに入り、お湯を沸かしながら落ち着きを取り戻していた。
「沙都子様、とりあえずお座りになりお茶を飲んで落ち着かれてはいかがですか?その方がよいアイディアが浮かぶのではないですか?」
「神山…。そうね、そうするわ」
その声に高宮が沙都子をソファーへとエスコートする。
高宮のエスコートに任せソファーに座った沙都子は神山から差し出されたマグカップを上の空で受け取り、また思考の淵に落ちる。
「沙都子さん、あの…具体的に美術館のどこに展示するのかとかってもう決めてるの?」
突然聞こえてきた智紀の声に体をビクッと震わせた沙都子。
マグの中の琥珀色の液体が沙都子の太ももに落ちた。
「熱っ」
声をあげた沙都子の手からマグカップをもぎ取り乱暴にローテーブルに置くとそのまま沙都子を抱き上げ、智紀はバスルームに入っていく。
普段の穏やかな雰囲気とは真逆の素早い行動に高宮も弟である神山も動くことが出来なかった。
バスルームに入った智紀はスカートを捲り上げ、隠された沙都子の太ももを
露出させた。
「智紀さん?」
沙都子の声に応えずにそのまま手に取ったシャワーヘッドを持つと蛇口を廻した。
自分が濡れるのも厭わずシャワーで冷水をかけた。