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お嬢様と二人の執事

第16章 ともにする人

「冷たいっ」

「我慢してっ!痕、残すわけにいかないでしょ?」

有無を言わさぬ智紀の口調に沙都子は黙って智紀のシャツを握りしめた。

太ももの外側に掛けられる掛けられる冷水。

冷やされていく太ももとは反対に沙都子は内心ドキドキしてた。

沙都子は内側にある紅い痕が智紀の目に触れるのではないかと…。

沙都子の太ももの内側にある紅い痕は嫉妬深く独占欲の強い恋人たちが毎夜付けるもの。

それを恋人以外の男の人に見られたら…。

しかもその相手が恋人の実の兄だと思うとますます緊張した。

智紀は何も言わず少し赤くなった沙都子の火傷の痕を冷やし続けている。

「兄さんっ、沙都子様は?」

神山がバスルームに入ってきた。

「大丈夫だよ、すぐに冷やしたから痕も残らないと思うよ?」

蛇口をひねってシャワーを止めると神山に沙都子を託した智紀。

「もうちょっと冷やしてあげた方がいいかも?悟がするんでしょ?」

そういうとそのままバスルームを出て行った。

「沙都子様?大丈夫ですか?」

神山が沙都子に声をかける。
素早く太ももを見ると蛇口に手を伸ばす。

「もう少し冷やした方がいいです。」

「悟…もしかして嫉妬してる?」

「そんなこと…ないです」

そうは言うけどいつもよりも硬い表情の神山。

沙都子はそのまま、神山に口づける。

「機嫌直して?なにも無かったし」

「当たり前です!」

神山は沙都子の後頭部に手を廻すと濃厚なキスを落とした。

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