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お嬢様と二人の執事

第4章 二人

「沙都子様は、大学のお友達はいらっしゃるのですか?」

「ええ…居ます。あ…連絡をしていないから心配しているかも…」

「左様ですか…。仲の良いお友達がいらっしゃるのですね…」

「ええ…私にしてはいい友達を持ったと思います…」

「私にしては…と言われますと?」

「私は…口下手で…お友達が喋っていると、早くてついていけないんです…」

「まあ…」

白河は口に手を当てて笑った。

「だからいつもにこにこして話を聞くように心がけているのですけど…
それでは、心を開いていないとよく怒られるのです」

「沙都子様…」

「ですから、自分のことをしゃべるようにというのも心がけていますが…やはり、上手く伝わりません」

白河は祖母のように沙都子を見守っている。

「でも…今のお友達は、そういう私も丸ごと理解してくれています」

「そうですか…では、お友達に会うためにも、早く元気になられないと」

「そうですね…明日からでも大学に行こうかしら…」

「ようございます。そうなさいませ…」

毛先をブラシで整えると、白河は頭を下げた。

「できましたよ。沙都子様」

沙都子は鏡を見ると、じっと見入った。

「お母さんに…似てる…」

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