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お嬢様と二人の執事

第4章 二人

高宮の舌が、沙都子の唇を舐める。

その誘いに沙都子の唇は薄く開く。

「あ…高宮…だめ…」

これから神山が来ることを沙都子は思い出した。

しかし高宮は構わず舌を沙都子の口内に割入らせた。

水音が静かな室内に響く。

「んっ…高宮…」

「一也と…」

透明な低いよく通る声で囁かれて、沙都子の下肢から力が抜ける。

「一也…だめ…」

「ああ…もっと名前を呼んで下さい」

「一也…お願い…」

高宮の舌が、沙都子の首筋を這ったとき、ドアが開いた。

「高宮、出ろ」

神山が立っていた。

その表情は怒りに燃えていた。

「邪魔しないでくださいよ…」

「あっ…」

沙都子の身体を抱き寄せると、挑戦的な目つきで神山を見遣る。

「今日は、沙都子様からの指名だ」

「…そうなんですか?沙都子様」

「神山…」

甘い時間を突然中断されて、沙都子はまた混乱の淵に居た。

高宮の心を知った今、沙都子の気持ちは揺れ動いていた。

「さあ、出ろ。高宮」

ドアを開けて、神山が威圧的に言う。

「わかりましたよ…」

沙都子の身体から腕を離すと、高宮はドアの方へ歩いて行く。

「明日は、私がレクチャーいたしますからね?」

そう念を押すと、部屋から出ていた。

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