
恋空予報
第16章 旅行
「うわーっ!ご馳走だあっ」
雅紀は瞳を輝かせて
海の幸を見ている。
「俺、こんなに食べれないから
雅紀にやるよ」
「えっ、いいの!?
…あ、けど、ニノも食べてよね。
最近また痩せたでしょ?」
うっ、気付かれてた。
朝飯と夕飯は雅紀と一緒に食べるけど
昼飯は一緒じゃないから抜くことが
時々あった。
些細な変化も、気付いてくれる。
なんだか胸が温かくなった。
「んー、美味しい…」
雅紀はお刺身を食べながら
頬を押さえる。
「あー、頬っぺた落ちそー…
ニノ、あーん」
「え?え?」
「あーん」
「あ、あーん」
雅紀にされるがままだった。
けど、そんな少しのことも
嬉しくて堪らなくて。
「じゃあ雅紀、あーん」
「あーん♪」
雅紀は嬉しそうに
お刺身を食べる。
「ニノからあーんしてもらったら
美味しさ倍増だね」
なんて、嬉しいことを言ってくれた。
…もう、あんたはどれだけ
好きにさせたら気が済むの?
