イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
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その日の夕方、ブルーベルから帰ると、テリザはアレクに、指に巻いてもらった包帯を取った。
あの後ラッドにも、『それはどうしたんだ?』と心配されてしまったが、うっかり切ってしまったとだけ伝えた。
傷口は塞がっているが、包帯を取るとまたずきずきと痛み出した。
(…。)
テリザはなんとなくごろんとベッドに横になった。疲れは溜まっていたかもしれない。
(あの時…アレクは、何を言おうとしていたんだろう。)
『なんでお前は、そう…』
『お前なぁ!もう少し…』
アレクの前では、なんだか失敗しているばかりみたいだ。
(そそっかしいって思われてるだろうな…そのことで、怒ってたのかな。)
自分に呆れ返って、溜息が出た。
また、カチ…カチ…と時計の音がする。
(退屈だな…。)
もうこの時間だし、することも限られている。
(――本、読みたいな。)
テリザはけだるそうに寝返りを打ってから起き上がり、昨日と同じように廊下に出たが、向かったのはハルの部屋だった。