イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
(ルナさん…。)
身の回りの世話をしてくれているメイドだ。
ベッドを整えに行く途中だったのか、たくさんのシーツを両手で抱えていた。
しかしテリザの顔色を見ると、途端に慌てたようだった。
「っ、テリザ様、誰か人を呼んできますね。体調が…」
「い、いいんです!ごめんなさい、何でもないですから…。」
テリザはこわばった笑顔をつくってみせると、ルナは慌てふためくのはやめて、代わりに、テリザの目をじっと見た。
(な、なに...?)
テリザはなんとなく居心地が悪くなって目をそらすと、ルナは言葉を探すようにして言った。
「あの…もう少ししたらお茶をお部屋にお持ちしますから、待っていてください。」
「え…?私は、そんな…」
「待っていてくださいな。ご迷惑でなければ、私からのお願いです。」
年上のルナにいささか強引に言われ、テリザはおずおずとうなずいた。
「は、はい…。」
そう言うと、ルナはにこっと笑った。
「ありがとうございます。それでは、失礼します。」
彼女はぺこりと頭を下げ、シーツを抱えて近くの部屋に消えていった。
(……?)
ルナの行動に疑問を感じながらも、テリザは大人しく自分の部屋へと戻っていった。