イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第4章 皆との距離
数十分後、ドアにノックの音が聞こえた。
「はい。」
テリザはドアを開くと、トレーを手に、ルナが立っていた。
(…?)
「入ってもよろしいですか?」
「ど、どうぞ。」
テリザが下がってルナを中に入れた。
「ティータイムにしましょう?」
ルナに微笑みかけられた。
「は、はぁ…。」
促されるままに椅子に座ると、ルナは優雅な動作で茶を注いだ。
ふわりといい香りが立ち上る。
「あの、もしかしてそれ…」
「はい、カモミールティーです。」
(どうして…。)
テリザはカフェインに弱い。紅茶やコーヒーは好きだが、夕方飲むと効き過ぎて、不眠になりかけたこともあったし、心臓にも悪影響を与えた。
「ラッド様から言われておりました。テリザ様の書類に書かれたコンディションから考えられたみたいです。」
ルナはテリザの心中の疑問に答えた。
―――そういえば、田舎からここに書き送ったものに、迷惑になるかもしれないと思い、正直に心臓を悪くしていると書いた。
(そうだったんだ…。)
ルナにカモミールティーをサーブされ、テリザは遠慮がちに口を付けた。